■ 東京都台東区雷門 / 文京区湯島 / 千代田区神田淡路町
- 東京 浅草 雷門 並木藪蕎麦 -
今回もそぞろ歩きというよりは、グルメツアーだったりする(汗*2)。
体育の日の三連休、中日にどこにも出掛けないのはもったいない、ということで藪蕎麦御三家をまわることにした。
まずは浅草雷門の「並木」。
蕎麦屋の開店はだいたい昼時。腹ごなしのために浅草寺をぐるりと散歩して、開店まで時間を潰す。
開店時間の11時過ぎに「並木」に行くと、既に店内は満員。席待ちのご夫婦の後ろに並ぶ。
運よく、すぐに店内に案内されて、一番奥の席に座ることができた。この混雑の中、一人で四人席に座るのは少々気が引ける。
- 並木藪蕎麦 菊正宗 樽酒 -
一人なのに四人席に案内して頂いた埋め合わせに(という理由をつけて)、昼だけれど仕方なく(喜んで)、般若湯を冷で。
メニューには「菊正宗樽酒」のみ。よい蕎麦屋にはよい酒があると期待していたのに、大手メーカーの量産酒の銘に、少々落胆。でも意外とコレがうまい。杉だろうか、ほんのりと樽の香りがあり、まろやかに飲めてしまう。
アテに出された蕎麦味噌を箸の先でなめながら、木の香りの酒を飲むというのもなかなか粋なものだ。
梅ほどの大きさの味噌玉だけれど、結構味が濃厚で酒が進む。時折蕎麦粒が口の中で香ばしくはじけて、味噌だけの単調な味を変調してくれる。
頼んでおいたざるそばが出てくる前に、一合飲み干してしまった。
- 並木藪蕎麦 ざるそば -
程なく本命登場。まずはそばだけをすする。そして二口目は、そばの先を汁につけて。汁はものすごく辛口だ。でも醤油の角は押さえられていて、しっかりと出汁の風味を感じる。これを沢山つけてしまっては、そばの風味を潰してしまう。既に私の味覚ではそばの香りを感じ取ることはできない。江戸のそばは汁をつけすぎないのが良い、と言われる真髄を感じた。きっと近年ほどそばの香りが上質でない時代に、そばの臭みを消す為に発展してきた汁なのだろう。
薬味として添えられていたねぎや山葵を入れる必要はない。この辛口の汁だけで十分。むしろ刺身を食べるときの薬味と同じように、そばに乗せて食べたほうがよいだろう。そば切り本来の食べ方ではないかもしれないけれど、なかなかいける。
少な目のそばはすぐになくなってしまった。汁抜きをもう一枚食べたかったけれど、今日はあと2件回りたいので、蕎麦湯で〆てお会計。
- 東京 文京区湯島 池の端藪蕎麦 -
銀座線で浅草から上野広小路まで移動して、不忍池を目指す。浅草の店は並木通りに出したから「並木」、この店は不忍池のそばにあるから「池の端」なのだろう。
不忍池の大通りからひとつ御徒町寄りの通り。夜はネオン街といった雰囲気だ。昼間は閉めている店が多い中で、その店の前には行列ができていた。「池の端薮蕎麦」に到着。
雑居ビルの間に建つ、和風のビル。入り口の看板と、小さな池が割烹のような雰囲気でお客を迎える。 隣のビルの地下にあるジャズレストラン(?)から、ピアノの伴奏と共に聞こえてくる無粋な男声に耐えながら、約15分で入店。入店のときに後ろを振り返ると、20人以上が列を成している。私が並び始めた時より長い列になっていた。
- 池の端 菊正宗 樽酒 江戸切子のグラスで -
今度こそは気の利いた酒々で・・・と期待したが、この店も「菊正宗 樽酒」のみ。池の端では「天たね」を頼むつもりだったので、被り承知でもう一度菊正宗樽酒を冷で注文。
並木同様、一合徳利が木の枡に載せられて登場。アテは同じく味噌玉。江戸切子のグラスが青く鮮やかだ。
本日二合目の菊正宗樽酒。切子のグラスの持ち手が手に馴染む。味噌玉と杉の香りが、自分の中ではもはや定番となっていた。なんだか馴染みの店で飲んでいるような気分に浸る。というより、酔いがまわり始めていて、今がいつでここが何処でも関係なくなっているだけなのだが。
- 池の端 天たね -
天たねはいわゆるてんぷらである。大ぶりの子海老(矛盾表現!?)が何尾も詰まった、重量感のあるかき揚げを塩で頂く。
このかき揚げは、衣部分が二つの要素でできている。土台となっているかき揚げ部分。普通のかき揚げだが、具の割合が多くて一口分で簡単にほぐれてゆき、つまみとして食べやすい。そして土台の上に載せられた揚げ玉部分。てんぷら屋の揚げ物とは違い、汁物に合わせるために蕎麦屋が編み出した工夫なのだろうか。
「天たね」は天蕎麦のネタだから「たね」というとのこと。天たねの他にも、天蕎麦から蕎麦を抜いた「天抜き」や、鴨南蛮から蕎麦を抜いた「鴨抜き」などがある。
江戸っ子が蕎麦屋の二階で「天蕎麦、抜きで!」と酒を注ぐ様子を思い浮かべながら、休日の昼間の酒を楽しむ。
- 池の端 ざるそば -
本日2枚目のざるを注文。この店の蕎麦も並木と同様、ざるをひっくり返したその上に蕎麦を盛っている。「薮方式」というか「薮style」なのだろう。
そしてやはり池の端の汁も濃い味。並木よりもやや甘みが出ている。私はこのこちらのほうが好みだ。刺身方式で蕎麦をすする。
汁の味も違うけれど、山葵の風味が全く違う。卸し立ての生山葵のみではないけれど、練山葵の味でもない。練り山葵のなのに、生山葵の風味がある。
蕎麦や汁の味も好みだけれど、蕎麦湯も良い。筑波のゐ田は別格だが、なかなか濃厚でこのとろみ加減が美味い。蕎麦湯で割った汁で食べる山葵はとても良い肴だ。次にこの店に来たときには、〆にもう一杯日本酒を頼もう。
- 東京 神田淡路町 かんだやぶそば -
最後は、薮御三家の本家、かんだ薮蕎麦へ。地下鉄で一駅、店の近くまではすぐに着いたけれど、周りがビルばかりで店がなかなか見つからない。公園の地図などを見ながら、携帯の力を借りてようやく接近。店の近くまで行けば、あとは行列が場所を教えてくれた。
コンクリート建材でできた森の真ん中に、なぜか違和感なく存在する木塀。大都会に突然現れた、江戸時代の宿屋か関所かという佇まい。そして何処からともなく、読経のような声が聞こえる気がした。
行列が意外と短いと思ったのはぬか喜び。木塀の奥まで行列は続いていて、本日2番目の長さ。やはり本家は格が違うのか。
待合の間、読経のような声がずっと響いていた。よく聞けば、蒸篭とかビールとか言っている。どうも注文を取っている声のようだ。どういう仕来りなのかよく分からないが、これもこの店のシンボルのひとつだろう。
- かんだやぶそば 恵比寿ビールと板わさ -
店はものすごく広い。ファミレスぐらいの収容力があるだろう。長いと思われていた行列も、たった15分で終了。案外早く席に案内された。
店の奥の番頭席(?)で会計担当の旦那(?)と注文経担当の女将(?)が、広い店内を仕切っている。ウェイトレス(仲居)さんは、ファミレス風味満載の揃いの緑のエプロン。店内の騒がしさもファミレス級。しかし老舗だけに応対はよい。それもそのはず、厨房もフロアもファミレスの倍以上の人数で対応していた。戦いは数、か。
薮蕎麦では菊正宗が定番らしい。菊正宗三合目は避けて、恵比寿と板わさに変更。ここでも味噌玉がお供についてくる。もはや、行きつけ店と同じような雰囲気の中で、ビールとかまぼこで食べている自分に気がついた。
もっとも、蕎麦なんて今でこそ高級感があるけれど、昔はファストフード。だからこういうノリのほうが正常な姿かもしれない。
- かんだやぶそば せいろう -
ビールが終わる頃合で蒸篭が運ばれてきた。他の二軒は逆ざる盛だったが、ここでは「せいろう」と呼称している。本当に系列店なのか、ちょっと疑問がわいてきた。
蕎麦の食感がかなり違う。噛み切りながら、崩れてゆく蕎麦切りではなく、もっちりと練りあげた麺。練って切ったのではなく、生地を伸ばしたりしたときの食感だ。これも食べなれた味に近いと言えば近い。
写真の光を調整して気付いたのだが、麺が緑に近いように見える。これも他の店と違う。茶そばでもないのに緑色なのはなぜだろう。もしかして、蕎麦は本来緑色?北海道ではクロレラで着色した緑の蕎麦が売れるらしい。何か関係あるのだろうか?
とはいえ、普通に美味しかった。老舗の味とは、普通のものを長く提供し続ける安定性の結晶なのかもしれない。
- 東京 立川 立川駅北口 クリスピー・クリーム・ドーナツ 立川ルミネ店 -
もう一押し欲しいと思って、地元に帰る。西国分寺の穴場的な有名店は、本日麺切れ閉店。立川のニューウェーブ系の店は日曜定休。やむなく帰宅しようとしたところ、立川駅にこの4月にできたクリスピー・クリーム・ドーナツの行列が以外に短いことに気付いた。満たされぬ腹をコーヒーとドーナツで補填して、今日の散歩は終了。
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Krispy Kreme Doughnuts:
クリスピー・クリーム・ドーナツ