■ 東京都東大和市 / 南街付近
- 東京都東大和市南街 -
家の近くで行われる夏祭りの張り紙を見つけた。
毎年貼り出されているのは知っているけれど、見物に行こうと思ったことはなかった。
子供の頃は、近所の神社で開かれる祭りには必ず見物に出掛けたし、町内会の御輿を毎年担いでいた。
けれど、中学時代は部活で忙しかったりして、祭りに参加しなくなっていた。
そして東京に出てきてからは、祭りが開かれているかどうかすら、興味を失っていた。
この日、20年ぶりに祭りの空気に触れた。
- 東京都東大和市南街 -
盆踊りのサークルを「連」と言っただろうか、いくつかの連が、それぞれ揃いの法被を着て順番待ちをしている。
地元の連もあれば、ちょっと離れた町の連もいる。
多摩地区近隣の町から集まってきているようだ。
- 東京都東大和市南街 -
切れ上がった笠を目深にかぶり、控えめな振りをしなやかに滑らかに踊る。
「おわら風の盆」に似せているのだろうか。
派手で激しい阿波踊りと違い、神秘性をまとった哀切・刹那を感じる。
できることなら、窓にもたれて、秋風に吹かれつつ、遠くのお囃子を聞きながらこの踊りを眺めていたい。
- 東京都東大和市南街 -
やがて祭りは盛り上がり、アップテンポの踊りが連続する。
老いも若きも、連全体がよく訓練されたシステムのように、一糸乱れぬ隊列を組み、通りを練り歩く。
- 東京都東大和市南街 -
祭りが盛り上がれば盛り上がるほど、哀愁を感じる。
行く夏の寂しさ、ある町の消えかかった祭りの火。
昔はあんなに輝いて見えたお祭りが、今や一部の人の義務感で存続させられているように見えて、悲しい。
今は祭り以外に楽しいことがあるから、敢えて維持しなければ伝統が消えてしまう。
そんな今という時代も悲しい。