Sweet Heaven Photograph & Words.
知らない町を歩いてみたい
2017.02.28
2017.02.28 / 鹿児島県いちき串木野市照島 海の駅 / Canon EOS 5D MarkU / EF24mm F2.8
【写真 No.1】
日本中の色々な町を訪ねてきたけれど、九州の中南部はまだ一度も行ったことがない。最近は手ごろな値段で航空券が手に入るので、交通費だけを考えれば、鹿児島もそれほど遠いところではない。そこで今日は鹿児島を目指すことにした。けれど、ちょっとした旅に大掛かりな機材を持ってゆくのは大変なので、性能や利便性よりも機動性を重視した軽装備で出かけた。
2017.02.28 / 鹿児島県鹿児島市桜島フェリー乗り場 / Canon EOS 5D MarkU / EF24mm F2.8
【写真 No.2】
羽田からの最初の便で鹿児島空港に降り立ち、そのまま連絡バスに乗り継いで鹿児島市内までやってきた。まず目に入ったのは桜島である。その威容は高速道路上から見てもも大きな存在感を感じさせるものだった。間近で桜島を見るため、桜島フェリーに乗り込んだ。フェリーのデッキからおの一枚。広角レンズで撮影したのに、これだけ大きく映しこむことができた。
2017.02.28 / 鹿児島県鹿児島市桜島フェリー / Canon EOS 5D MarkU / EF40mm F2.8 STM
【写真 No.3】
桜島フェリーの乗船時間は約15分。その間に楽しむことができるちょっとした名物がある。「やぶ金」のうどんである。このうどんはとても評判とのことなので、私も天ぷらうどんを頂くことにした。大きな野菜天に独特の出汁が染み込んでとてもおいしい一杯だった。このうどんのために遠方からやってくる人の気持ちもわかる。てんぷらうどん以外にも、かけや月見もあり、そばも売られていた。かけうどんにはさつま揚げが乗るとのこと。
2017.02.28 / 鹿児島県鹿児島市桜島 / Canon EOS 5D MarkU / EF40mm F2.8 STM
【写真 No.4】
フェリーが桜島に入港すると、桜島は港の周りの建物や岩山に隠れて見えなくなってしまった。なんでも近づけば大きき見えるのではない、と当たり前のことに気づき、視界の開ける場所を探すことにした。港の前に立ち並ぶ大きな観光施設や、目立たない外装のコンビニにまぎれて、何とも良い味を出している長屋風の建物があった。こういった建物を見ると、思わずシャッターを切ってしまう。
2017.02.28 / 鹿児島県鹿児島市桜島 / Canon EOS 5D MarkU / EF85mm F1.8 USM
【写真 No.5】
港から15分ほど歩いたところで、ようやく視野の開けた場所を見つけた。港近くにある住民用のグラウンドのようだ。ここから桜島を一望することができた。こうして見ている山々は、桜島の主要な火口である御岳、そして古い火口の南岳、春田山や引ノ平など。画面外の手前には愛宕山があり、山体の向こうには権現山や鍋山が聳えているはずだ。とはいえ、そもそもこれらの山を呼び分けることはいらしい。
2017.02.28 / 鹿児島県いちき串木野市照島海岸 / Canon EOS 5D MarkU / EF24mm F2.8
【写真 No.6】
桜島の次は、鹿児島市内へ戻り鹿児島本線に乗って、薩摩半島の西岸、いちき串木野市へ向かった。神村学園前駅で電車を降り、海岸線を目指す。15分ほど歩くと、照島海岸の浜辺が広がっていた。先週のテレビ番組でたまたま見た風景が印象深く、マップアプリで探し当てた場所である。左手には薩摩半島を一望し、目の前の砂浜と海は太陽の光をキラキラと映し出す。そして右手には古くからの神社が鎮座している。
2017.02.28 / 鹿児島県いちき串木野市照島海岸 / Canon EOS 5D MarkU / EF40mm F2.8 STM
【写真 No.7】
なんのゆかりもなく、たまたまテレビで見てきれいだと思った景色だが、何となく既視感がある。左手に山がちの島影が見えていて、右手に小さな磯場のある海岸は、静岡市の海岸と似ているのかもしれない。子供のころから見慣れた駿河湾は、左手には伊豆半島、右手には用宗港と大崩海岸、そして眼前に海が広がる風景は今私が見ている鹿児島の海とよく似ている。
2017.02.28 / 鹿児島県いちき串木野市照島神社 / Canon EOS 5D MarkU / EF24mm F2.8
【写真 No.8】
海岸を左手に見ながら、照島神社を目指す。照島神社は古くからの豊漁などの守り神としてまつられている。神社の島へ渡る太鼓橋の手前、白いニャンがいた。すこし痩せ気味ではあるが、とても神々しいオーラをまとって、狛犬のように道を守っている。
2017.02.28 / 鹿児島県いちき串木野市照島神社 / Canon EOS 5D MarkU / EF24mm F2.8
【写真 No.9】
離れ島にある神社に続く太鼓橋を渡る。鳥居から続くその橋は意外と長い。青い空と青い海、そして漁師町の青い屋根に囲まれた朱の道はどこか別の世界へ続いているようにも見える。
2017.02.28 / 鹿児島県いちき串木野市照島海岸 / Canon EOS 5D MarkU / EF24mm F2.8
【写真 No.10】
照島神社を後にして、砂浜へ降りてみた。暖かい日なのだが、冬の平日に砂浜を歩く人は少ない。近くには誰もいない砂浜をしばらく歩いてみた。ここは南の島々へ続く海だ。何が見えるか、聞こえるか。落ちている貝殻を拾って、太陽にかざしてみる。
2017.02.28 / 鹿児島県いちき串木野市照島海岸 / Canon EOS 5D MarkU / EF85mm F1.8 USM
【写真 No.11】
日本で真西を本当に見渡せる海岸は少ない。もうここは見慣れた太平洋や日本海ではない。目の前の海は東シナ海である。夕日までこの場所にいたいけれど、電車の時間や翌日のことも心配になるので、日の高いうちに照島の浜を後にした。
2017.03.01 / 鹿児島県鹿児島市南埠頭 / Canon EOS 5D MarkU / EF85mm F1.8 USM
【写真 No.12】
翌朝、日の出前に起きだして港まで歩いた。鹿児島の海岸のどこから見ても、桜島はとても大きく見える。
2017.03.01 / 鹿児島県鹿児島市南埠頭 / Canon EOS 5D MarkU / EF40mm F2.8 STM
【写真 No.13】
桜島の山頂に赤みが差してきた。桜島が噴火するときは、こんな風に見えるのだろうか?それとも噴煙や降灰で御神火は見えないのだろうか。
2017.03.01 / 鹿児島県鹿児島市南埠頭 / Canon EOS 5D MarkU / EF40mm F2.8 STM
【写真 No.14】
真っ赤な朝焼けが空と海を染める。今日の天気は下り坂、昨日のニュースではそんな予報だった。今日一日、せめて空港に帰り着くまでは雨は降らずにいてほしい。
2017.03.01 / 鹿児島県鹿児島市ドルフィンポート / Canon EOS 5D MarkU / EF40mm F2.8 STM
【写真 No.15】
次の訪問地、宮崎行きのバスの時間が迫っている。桜島の朝日を見ながら、朝のコーヒーを飲んでいる時間はなさそうだ。天文館のバス停に向かうことにしよう。
2017.03.01 / 鹿児島県鹿児島市ドルフィンポート / Canon EOS 5D MarkU / EF40mm F2.8 STM
【写真 No.16】
埠頭の前の広場からもう一度、桜島を振り返る。結局、この後、宮崎に到着したとたんに雨が降り出してしまい、この旅の中、九州で見た太陽はこれが最後になってしまった。
旅の機材 〜ちょっとテクニカルな話〜
2017.02.28
2017.03.01 / 資料写真 / Canon EOS 5Ds / EF24-105mm F4 L IS USM
【今回の旅で使用した機材】
 Canon EOS 5D MarkU(2008年(H20年)11月発売、810g、実勢売価300000円、販売終了、中古価格75000円前後)
 Canon EF24mm F2.8、(1988年(S63年)11月発売、270g、口径58mm、43800円、販番終了、中古価格15000円前後)
 Canon EF40mm F2.8 STM、(2012年(H24年)6月発売、130g、口径52mm、23000円、新品売価18500円前後、中古価格10000円前後)
 Canon EF85mm F1.8 USM、1992年(H4年)7月発売、425g、口径58mm、58000円、新品売価45000円前後、中古価格35000円前後)
今回の旅の機材は、普段使っている主力ではなく、旧世代機のEOS 5D MarkIIと小さな単焦点レンズでまとめてみた。主力としている上位クラスのレンズと超高画素機の組み合わせは、もちろん良い絵を結んでくれるのだが、とても大きくて重い。今回は一泊二日の駆け足の散歩旅なので、割り切って小型の機材でまとめた。
私は基本的なレンズの組み合わせを、24mm、35mm、85mm、135mmと考えている。これは自分の目の感覚を基準にして、広い視野に相当する24mm、日常的な視野や距離感に近い35mm、対象を見据える時の視野に近い85mmの3本に、しっかりとした望遠効果を得られる135mmを加えた4本としたのもである。今回は、大柄の135mmは外して、さらに35mmを薄型(パンケーキレンズ)の40mmと入れ替え、24mmと85mmの3本を携行することにした。
2017.03.01 / 資料写真 / Canon EOS 5Ds / EF24-105mm F4 L IS USM
【カメラと主レンズ】
 Canon EOS 5D MarkU + Canon EF40mm F2.8 STM
EOS 5D MarkIIはそもそもプロ向けの道具である。現在では画素数やAF性能などの数字的なスペックは最新の普及機にも見劣りするが、操作性や描写力などにおいては、普及機にはない「道具」としてのポテンシャルを持っている。今回の旅でも、私の操作に忠実にかつ小気味良く動作し、しっかりとした絵を撮ってくれた。
今回はフルサイズ対応パンケーキレンズであるEF40mm F2.8 STMをメインレンズとした。パンケーキレンズは薄型のレンズを指す俗称で、その名の通りパンケーキのように薄く小さい。そのためカメラに装着したままでもかさばらないため、旅にうってつけのレンズである。今回もほとんどのシーンでこのレンズをつけて歩いていた。EF40mm F2.8 STMは携行性に優れているだけではなくて、小さい割にはよく写るレンズである。細部の表現や色の深さはLレンズなどには当然及ばないにしても、この値段でこんなに小さくてこれだけ写れば十分である。旅で撮影する【写真 No.3】のようなグルメ写真や、【写真 No.4】や【写真 No.7】のような街角スナップに安心して使うことができる。しかし難点として、周辺光量の低下がほんとうに著しいことがあげられる。これは現像ソフトで補正をかけると、驚くほどの違いが絵に出てしまう。補正できるなら問題ないと言ってしまえばそれまでだが、むしろ周辺光量の低下を生かして、しまりのある絵作りに活用したほうが良いだろう。【写真 No.15】はあえて周辺減光を補正しないことで、ウッドデッキに反射する朝陽を強調することができた。
2017.03.01 / 資料写真 / Canon EOS 5Ds / EF24-105mm F4 L IS USM
【望遠レンズ】
 Canon EF85mm F1.8 USM
EF85mm F1.8 USMは大変評価が高いレンズである。一部では、3倍から5倍の価格差がある85mm F1.2Lとほぼ同じように写る、とも言われている。一般にはポートレートレンズとのイメージがある85mmだが、適度な望遠圧縮効果や、対象を見つめるときの感覚と似たパースペクティブは、風景写真やスナップ撮影でも生きてくる。この旅では主に海辺で活躍してくれた。海と浜辺を適度な圧縮感でまとめた【写真 No.11】では、強烈な明暗差のある逆光様の条件でも、海と砂の色とグラデーションをしっかりと描写している。そのうえで海面の輝きをひとつひとつ描き出している。中途半端なレンズなら、グラデーションは曖昧になり、輝きは滲んでしまい、光点の集合として描き出すことができない。また薄暗い時間に撮影した【写真 No.12】では、夜明け前の淡い色やシャドー部を柔らかく描きわけてくれた。そしてシャープに写った釣り人とその釣り竿には、快感すら覚えてしまう。
2017.03.01 / 資料写真 / Canon EOS 5Ds / EF24-105mm F4 L IS USM
【広角レンズ】
 Canon EF24mm F2.8
私は、広い視野の中で中心的な存在感のあるものを見つけたときにシャッターを切ることが多いのかもしれない。そんな時には、広角レンズで被写体に寄って、主題を大きく、背景を広く撮ると、その瞬間が記憶の中にも固定されるような気がする。青空にかざした貝を撮影した【写真 No.8】では、寄せて撮影した貝の細かな質感を写し込みつつ、広角のパースペクティブを生かして、大きく広がっている海辺の風景も、一枚の写真の中に収めている。また【写真 No.9】では24mmの広い視角を生かして、青空の下の朱塗りの欄干を目の前では画面に大きく取り込み、広角レンズの距離感の向こうまで続くように写しこむことで、色と空間を強調して表現している。もちろん【写真 No.1】のように、目の前の視野を広くすべて写し込みたい、という広角レンズの真っすぐな使い方もアリだろう。これだけ安いレンズなのに、中心部のシャープネスはとても良い。【写真 No.8】では、ニャンの毛が一本一本写し出されているようだ。けれど、設計が古いためか廉価な製品のためか、色のノリが浅い。華やかに色を表現しようとすると、特に低コントラストに仕上げたハイライトのほうで色が暴れてしまい、ややマゼンダ側にシフトしてしまっているように思える。カメラ本体の特性や現像パラメータの組み合わせによる現象かもしれないけれど、このあたりを踏まえてアンダー気味に撮影したほうが良いかもしれない。

【追記】口径の違うレンズを携行すると、口径ごとにフィルターが必要になる。小型のレンズでは調整リング不要になるよう、口径を合わせてほしいなぁと。