Sweet Heaven Photograph & Words.
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Blue Bonin Blue - 蒼海の小笠原-1 -
2016.10.27
2016.10.27 / Blue Bonin Blue / 小笠原諸島 父島 長崎展望台から兄島瀬戸を望む / Canon EOS 5DS / EF200mm F2.8L USM
小笠原の海は青い。深く深くどこまでも青い。その青が空まで続いていて、視野一面に広がっている。その青の中で、立ち上がる雲の白や、船の航跡が残す波頭の白が、現れては消え、消えては現れてゆくことで、この島々の時が紡がれる。
2016.10.27 / 船は南を目指す / おがさわら丸 東京湾沖 はるか南 / Canon EOS 5DS / EF17-40mm F4L USM(17mm)
小笠原には民間機が就航する空港がない。そのため、小笠原へ渡る手段は限られている。一般の旅客は、概ね週1便の定期航路を利用するか、不定期運航のクルーズツアーに参加することになる。この日も定期航路の「おがさわら丸」は午前11時に東京港を出港し、伊豆七島を眺望しながら、太平洋を南へ向かった。
2016.10.27 / 東の空に日が昇る / おがさわら丸 伊豆鳥島 南海上 / Canon EOS 5DS / EF17-40mm F4L USM(17mm)
航路は24時間。おがさわら丸の船上で右手に夕日を送り、朝日を迎える。出港の翌朝、午前5時。南進する船がかき分ける波の向こう側、東の水平線が色を帯びてくる。止まっているように見える天空の太陽とは違い、水平線や地平線の向こうに見える太陽は、目で追うその動きや、身体が受け止めるぬくもりで、時間の流れを感じることができる。
2016.10.27 / 東の空に日が昇る / おがさわら丸 伊豆鳥島 南海上 / Canon EOS 5DS / EF17-40mm F4L USM(40mm)
夜の闇に押し込まれていた視界は、昇ってゆく朝日が明るさを増すにつれ赤に染まる。そして、空と海がまとった暖かな色は、再び深い青を取り戻してゆく。まだ島影は見えないが、その青は昨日とは全く違い、深く濃い色になっていた。
2016.10.27 / 海底深くから湧き上がる奇岩列島 / おがさわら丸 聟島列島(ケーター列島)沖 / Canon EOS 5DS / EF200mm F2.8L USM
日が高くなり、海原に反射した光のきらめきが、目の奥に突き刺さるようになった。目を細めて水平線を見遣ると、小さな島影が見えた。おがさわら丸は、小笠原諸島の最北端に位置する「聟島列島」の西を南進している。聟島は「ケータ島」とも呼ばれる無人島で、旅の目的地への入り口だ。デッキのあちらこちらから聞こえる歓声に、期待が満ち溢れていた。
2016.10.27 / 南洋の海と空 / 小笠原諸島 父島 三日月山展望台(ウェザーステーション展望台) / Canon EOS 5DS / EF24-105mm F4L IS USM(24mm)
おがさわら丸は父島の二見港に入港した。この島の海と空は本当に青い。「ボニンブルー」と言われる深い青だ。海や空が太陽光線の波長ごとに散乱させたり透過、反射させるという理屈だけで、この深い青を説明できるだろうか。普段目にしている内地の海は濁っていて、その色と比べて鮮烈に見るのかもしれない。だとすれば、この青こそ本当の自然の色なのかもしれない。
2016.10.27 / 南洋の海と空 / 小笠原諸島 父島 三日月山展望台(ウェザーステーション展望台) / Canon EOS 5DS / EF24-105mm F4L IS USM(24mm)
海は空の青を反射して青く見える、という人がいる。これはあながち誤りとも言えない気がした。海面は日の光や雲の白を映し出している。だから空の青も映し出しているのではないだろうか。空は青を散乱させ、海は深ければ深いほど赤や緑を透過し、純粋に青だけを反射する。深海へ続くこの海が空の色を映して、自らの色になおいっそう深くしているように見える。
2016.10.27 / 戦争遺構の島 / 小笠原諸島 父島 初浦展望台 旧日本軍倉庫跡 / Canon EOS 5DS / EF24-105mm F4L IS USM(24mm)
父島は山がちな島である。ヤギの食害があるとはいえ、緑も多い。しかしその緑の少なからざる部分を、外来種が占めている。そして人間が最たる外来種で、また破壊者でもある。「本来の自然」は所詮人間の小さな価値観に過ぎない。この島に新しい生物を持ち込み、山を削り、海を埋め、戦火で焼いた歴史はそこかしこに残っている。この島々を「手つかずの自然」という一言で説明することはできない。
2016.10.27 / 戦争遺構の島 / 小笠原諸島 父島 初浦展望台入口 戦前の発電所跡 / Canon EOS 5DS / EF24-105mm F4L IS USM(24mm)
人が持ち込んだ生物は、ある意味この島に愛されたのかもしれない。それが良いことかどうかわからないが、狭いこの島で確実に命をつないでいる。いっぽう、人の遺構は緑の中に忽然と建ち、痛々しい姿を不自然にさらしている。大自然の前では、鉄筋コンクリートなどいずれ雨風に飲み込まれる、刹那の営なみに過ぎない。だが人にとっては自然生物の置換という後戻りできない破壊よりも、わかりやすい形でこの島の歴史を訴えかけている。
2016.10.27 / 南の島の日が暮れる / 小笠原諸島 父島 亜熱帯農業センター / Canon EOS 5DS / EF24-105mm F4L IS USM(105mm)
島に闇の時間が迫ってきた。町の夕暮れは街灯や人家の明かりで、ところどころに明るさを残す。島に限ったことではないけれど、人里離れたところの夕暮れは、まさに時間とともに闇に包まれてゆくようだ。森の木々、草花はその色をひそめ、残光の影となり、やがて闇に消えてゆく。逢魔が時、まさに魔がすべてを少しづつ飲み込む様子にも見える。
2016.10.27 / 沈船濱江丸の夕日 / 小笠原諸島 父島 境浦 沈船 濱江丸 / Canon EOS 5DS / EF24-105mm F4L IS USM(47mm)
長い影の向こうに走り、海岸にたどり着いた。時刻は午後5時。南西の方向に夕日が落ちてゆく。海は数えきれないほどの太陽を海原に乗せ、それでもなお、空と雲を映し出している。この境浦には、第二次大戦中の1944年8月5日、米海軍機の魚雷を受けて炎上し放棄された貨物船「濱江丸(ひんこうまる)」の船体が沈んでいる。もう何十年、この船の影は浜辺の夕日に映し出されている。
2016.10.27 / 父島の夜景と天の川 / 小笠原諸島 父島 扇浦から大村を望む / Canon EOS 5DS / EF17-40mm F4L USM(17mm)
父島の夜は闇の中ではないようだ。浜辺に出ると、数キロ先の大村の町と二見港に停泊しているおがさわら丸の照明が、まぶしいほどに輝いている。しかしそれでも天空の星々ははっきりと輝き、天の川も見ることができた。これほど光の中でさえ、これだけ星を見られるのだから、日常の町々ではどれほどの光が夜を埋め尽くしているのだろうか。
2016.10.27 / 小笠原の夜明け / 小笠原諸島 父島 初寝浦展望台 / Canon EOS 5DS / EF17-40mm F4L USM(17mm)
翌朝4時、森の中の道を展望台へ向けて走る。父島の集落・民家はそのほとんどが西海岸沿いに建ち、朝日を望むことができない。だから朝日を見るために、東海岸に続く切り立った断崖の上の展望台へ原付バイクを走らせた。午前5時過ぎ、島の夜が明ける。真っ黒だった海面に朝日が差し込み、昨日まで一様に見えた海面に、斜光によって小さな岩礁の波頭や潮の流れまで描き出された。
2016.10.27 / 小笠原の夜明け / 小笠原諸島 父島 旭平展望台 / Canon EOS 5DS / EF24-105mm F4L IS USM(70mm)
流れては過ぎてゆく雲、金色に輝く空と海、視角全体から聞こえてくるような波の音、そして少しだけ聞こえる風の音。おそらくこの景色は、何万年もの間、それほど変わっていないのだろう。同じく太平洋の島々でもこのような奇跡が毎日繰り返されているはずだ。当たり前にあるはずの闇や光の奇跡を、我々は失ってしまっている。
2016.10.27 / 海辺の夜明け / 小笠原諸島 父島 小港海岸 / Canon EOS 5DS / EF24-105mm F4L IS USM(24mm)
大自然を前にすると、自分の悩みなど小さなことに思えてくる、とよく聞くけれど、現実の悩みが消えることはない。そして「爽やかな朝」や「希望の朝」を忘れて久しい。けれど今日は違う。多くを捨ててこの地を訪ね、朝を迎えたことで、今日の風が吹いてくる気がした。これまでの悩みよりも大きな現実が待ち構えているのに、理由のない晴れやかな爽快感で海を見ている。
2016.10.27 / 夜明けの浜の貝殻 / 小笠原諸島 父島 小港海岸 / Canon EOS 5DS / EF24-105mm F4L IS USM(88mm)
「私は貝になりたい」は、戦後の悲劇を描いたドラマで、これまで何度か映像化されている。ある男が招集され、捕虜を殺した戦犯の濡れ衣で、理不尽な裁判により死刑にされる。「もう人間には生まれ変わりたくない、海の底の貝になりたい」と遺して処刑される。このような理不尽は現代でもなおなくならない。浜辺に落ちている貝殻に、人間の営みの愚かさが垣間見える。
2016.10.27 / 青の波打ち際 / 小笠原諸島 父島 小港海岸 / Canon EOS 5DS / EF24-105mm F4L IS USM(67mm)
朝の西海岸は、島の中央を南北に走り、東西を分かつ山々により、東からの朝日が閉ざされている。だからなのか、朝の西海岸はまぶしいほどの輝きはなく、海の色がそのまま波の色になる。岬と岬の間から覗く、まだ明けきっていない空の光が、海と波に映りこんでいた。
2016.10.27 / 穏やかな浜辺の木陰 / 小笠原諸島 父島 コペペ海岸 / Canon EOS 5DS / EF24-105mm F4L IS USM(88mm)
東屋のベンチに腰かけて、紫煙を燻らす。内海はいまだ朝凪の穏やかさを湛え、浜辺の木々の緑が静かな風に揺られている。この浜辺には私以外誰もいない。沖縄の離島でも、これほど人の少ない浜辺で過ごしたことはない。南の島の穏やかな時間だ。
2016.10.27 / 戦跡の見える浜辺 / 小笠原諸島 父島 境浦海岸 / Canon EOS 5DS / EF24-105mm F4L IS USM(24mm)
穏やかな凪の海、沈船 濱江丸へダイビングかシュノーケリングに向かうボートが湾内を進む。境浦は国内では珍しい、沈没船の中へ潜ることができるスポットとして有名だ。いろいろな意味で小笠原らしい景色だ。戦跡は内地でも散見するが、それらは何らかの形で時代に取り込まれてしまっている。しかしこの地の沈船や塹壕などは、時代の流れや開発の波からいわば「奇跡的に」取り残され、当時のまま「放置」されたがために、この島を物語る景色になってるのだと思う。